■ 抄録・要旨
| 溶存有機物質(DOM)は疎水性の微量化学物質の生物利用性、水生生物への毒性を低減する。DOMに収着した微量化学物質が細胞膜に分配しなくなることが原因と考えられている。本研究では、医薬品であるフルオキセチンとPAHsであるピレン、1-アミノピレンおよび1-ヒドロキシピレンを対象に、国内の実河川と下水処理水のDOMがどの程度細胞膜への分配を低減するのか評価した。
荒川と下水処理水中のDOMは4種の微量化学物質の細胞膜への分配を減少させた。減少させる割合は、共存濃度が10mgC/Lであってもせいぜい20%程度と計算された。荒川のDOMはピレンよりも親水基を有するピレン誘導体2種に強い影響を与えた。荒川3地点と下水処理水中のDOMは、SUVAが小さいにも関わらず、比較的よくDOMを収着した。
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